父親たちの星条旗
習慣、士気を高めるため、儀式。。。
軍隊ならではの国旗掲揚の場面を撮った写真が
戦争の行方を一変させただけじゃなく
3人の兵士と家族やその周りの人たち
国までもが変わってしまった
クリント・イーストウッドの最新作2部作の
第2次世界大戦・硫黄島での戦いを
アメリカ側と日本側それぞれの視点から見た作品のアメリカ版が
この「父親たちの星条旗」
先日見た「男たちの大和」とかなりかぶる部分があって
やっぱり日本映画とアメリカ映画の力の差を見せ付けられました。
もちろんイーストウッド監督の技と独特な視点、語り口もあるけど
スピルバーグと手を組んで「プライベート・ライアン」のいい部分と
ポール・ハギスの絶妙な脚本と
同じフレーズを違う楽器で淡々と聞かせるイーストウッド自らの音楽が
3人の兵士の気持ちを表しているようで
台詞や彼らの表情から感じられる気持ちがぐっと胸にしみこんでくるようでした。
戦争の悲惨さや苦しさもしっかりと描かれていますが、
この作品の最も重点の置かれた部分は
戦争にかかる軍費=お金、負けられない=アメリカの意地
そんな所にスポットを当てて
硫黄島の戦いから帰還した兵士にインタビューすると言う
ドキュメンタリー的な雰囲気で語られていました。
目だつような大スターを起用せず
一見地味にも感じられますが、
実際の戦場の悲惨さが伝わってくるのと
ヒーローに祭り上げられた3人の苦しさが感じられます。
逆の目線から見たもう1本の作品「硫黄島からの手紙」は
今や日本人俳優と言えばこの人 渡辺謙さんと
叫びの演技 中村獅童さんらが出演
「男たちの大和」同様、
もう本土には帰ることの出来ないと言うことが
解っていながらの戦いを35日間と言う長い時間を
どんなことを考え、どんなことを思い、どんな戦いをしたのか
学校じゃ教えてくれなかったことを
我々日本人じゃなくアメリカ人のクリント・イーストウッドさんに
教えてくれることになるとは。。。
いろんな意味で世界に進出をしている日本と言う国と
その国で造り上げられ物や情報がトップを走っていた時代が
そろそろ2番手3番手へと変わりつつある今
たった60年前の事も知らない私たちにとっては
先人は何を考え、何をしてきたのかをもっと知る時に来たんじゃないかなぁ
「男たちの大和」の中の台詞で「負けて再び立ち上がる」
そんな台詞があったと思うけど
まさにそんな時代なんじゃないでしょうかね。